1. はじめに
日本人の死亡原因の一位はがんであり、女性は大腸がんによる死亡数が一位で、男性は第三位である。近年、大腸がんの罹患率が非常に高くなっている。大腸がんの原因は腸内細菌である悪玉菌 (アリアケ菌、大腸菌等) が発がん物質 (二次胆汁酸、ニトロソアミン) を産生することによってがんが発症する。他に脳卒中、心臓病、認知症等の発症もある。善玉菌 (ビフィズス菌、乳酸菌等) は健康維持、生命活動に必要な物質 (乳酸、酪酸) の産生し人の健康に非常に関わっている。 本研究では、善玉菌の一種であるビフィズス菌の培養を行い、人の腸粘膜を認識する膜タンパクを高発現させ、抗体を作成する。次に、糞便に対する抗原抗体反応で腸内細菌の割合を測定し腸内環境について調べることを最終目的とした。
2. 実験方法
TOSプロピオン酸寒天培地を使用してヨーグルトからB. longumを分離し培養した。培養した菌からDNAを抽出し、プライマーを設計してPCR法により表在タンパクDNAを増幅させた。増幅したDNAをゲル回収し制限酵素の切断した後、pET41bとライゲーション、形質転換を行った。
3. 実験結果及び考察
B. longum の16S rRNAを得異的に増幅するプライマーを用いPCR法を行った結果、831 b程度のDNA増幅断片 (図1) が確認でき、B. longumであることが明らかとなった。次に、B. longumの腸管を認識するプライマーを用いPCR法を行った結果、1.6 kb程度のDNA増幅断片 (図2) が確認でき、表在タンパクに必要なDNAの増幅ができた。これをHis-tagに付加したタンパクとして高発現させるために、pET41bにライゲーション中である。