先生の部屋訪問-医工学研究室 松木先生
- 岡本:
松木先生、研究室紹介のトップバッター はなんと我が医工学研究室らしいですよ!!
ということで、さっそくインタビューさせて下さい。- 松木先生:
- なんだよ、藪から棒に!
(学生による研究室紹介について説明中…)
だったら君が紹介しなさいよ。 - 岡本:
- 僕は工学系の研究を進めていて、松木先生自身の研究をあまり知らないので今回は良い機会かなぁと。それではさっそく質問にお答えください。先生は現役のお医者さんですが、なぜ医師を目指したんですか。
- 松木先生:
- 強引だねぇ…。僕は小さいころ体があまり強くなくて、よく病院に行っていたんだ。そのせいで病院が身近に感じられたからかな。
- 岡本:
- そうだったんですか。ところで、先生の研究室では、どんな研究を行っているのですか?
- 松木先生:
- 癌細胞にアポトーシスを誘導する研究をしているよ。
- 岡本:
- ちょっといいですか。アポトーシスってなんでしたっけ??
- 松木先生:
- アポトーシスとは、細胞が自殺するような機構のことだよ。
細胞の死に方には大きく分けて2種類あるのは知っているよね。ひとつは壊死、もうひとつはプログラム死と呼ばれるものでアポトーシスとも呼ばれているんだよ。
壊死はご存じのように細胞に穴があいて細胞内部の物質が出てきます。それにより、ひどい炎症を引き起こしてしまう。一方、アポトーシスは細胞自身が自己消化をし、小さく断片化していき、それを生体内部の貪食細胞が食べていくため、壊死に比べ炎症反応が非常に起こりにくいんだ - 岡本:
- アポトーシスのことはなんとなく分かりましたが、僕らの体の中ではいつアポトーシスが起こっているのですか?
- 松木先生:
- そうだね。たとえば胎生期に、君の手はもともと一つの塊でできていたんだよ。でも君の手には奇麗な指が5本あるだろ?これはアポトーシスによって、指と指の間の細胞がきれいになくなることによってできたんだよ。これが壊死によって起こると君の指はひどい炎症になって、傷が汚くなるんだよ。
僕はこのアポトーシスを誘導することで、癌細胞を死滅させる研究をしているんだよ。現在、癌細胞に壊死を起こさせることは可能だが、ひどい炎症を引き起こすため、ただでさえ体力の弱っている人にはとても苦しい治療法になる。だから、アポトーシスで癌細胞を死滅させることができれば、炎症反応をぐっと抑えることが可能になるんだ。しかし、今はどうすれば効率的にアポトーシスを誘導することができるのか、詳しいことが分かっていない。 僕は、なるべく壊死を減らし、アポトーシスを増やしていくことで、よりマイルドな治療が行えると考えてこの研究をしているんだよ。 - 岡本:
- なるほど。なかなか難しそうですね。でも実現したら、患者さんにとってはとてもうれしいことですね。僕も人の役に立つ研究をしていければいいな。
- 松木先生:
- まずはちゃんと卒業してね。
- 岡本:
- はい、がんばりマス…。今日はありがとうございました。
ということで、医工学研究室(松木ゼミ)でした。
