生体医工学科の一品
ポリグラフ
- 学生
- 先生、この生体情報工学研究室には「ウソ発見器」があると聞いたんですが、本当ですか?
- 先生
- ・・・?
- 学生
- もし本当なら、それで僕を調べてください。
- 先生
- ・・・なるほど、わかりました。それは「ポリグラフ」のことを言ってるんですね?
- 学生
- そして、僕の彼女に僕がウソを言ってないということを証明してください。(笑)
- 先生
- これがポリグラフという装置ですが、残念ながらこの装置ではウソはわかりません。
- 学生
- ポリグラフというのはウソ発見器のことではないんですか?
- 先生
- はい。よく刑事もののテレビドラマで「ウソ発見器」としてポリグラフがでてきますが、元々ポリグラフは病院で、手術をするときなどに患者さんの状態を監視・記録するために使用されるものです。例えば心電図とか、脳波や血圧などを測定することができます。
- 学生
- それじゃ、テレビで出てくるウソ発見器とは全くの別ものなんですか?
- 先生
- いや、必ずしも全く別、というわけでもないんです。
- 学生
- ???
- 先生
- ポリグラフは、体から出てくるいろんな生体信号を同時に計測する装置の総称として用いられているだけで、決まった生体信号を測定する装置を指していません。測定する生体信号の組み合わせにはいろんなバリエーションがあり得ますが、それら全てがポリグラフと呼ばれるわけです。今、このポリグラフは、心電図または筋電図と、体温、血中の酸素飽和度、呼吸回数を測定できるシステムとなっていますが、このカプラー部分を取り外して、別のシステムに簡単に組み替えることができます。なので、ウソを発見するための測定項目、たとえば血圧とか心拍数、皮膚の発汗状態なんかも測定するわけですが・・・、こういったシステムに組み替えれば、基本的には「ウソ発見器」として使用することが可能になります。
- 学生
- じゃぁ、あとはシステムを組み替えるだけでいいんですね?
- 先生
- 実は、ただ単にシステムの問題というだけでもないんです。ウソ発見器でうそを見破るためには、心の動揺を極めてわずかな心拍数の乱れや血圧の変動などで判別するわけですが、これの判読にはかなり訓練を積んだ熟練したノウハウが必要です。残念ながら私にはウソ発見器として使用した経験もノウハウもありませんねぇ。(笑)
- 学生
- そうなんですか。
- 先生
- これで、本当にウソがわかるかどうか試してもらってもいいですよ。(笑)
- 学生
- なるほど。ウソ発見器は生体計測装置の応用であって、それほど簡単に誰でもできるというわけでもないんですね。
- 先生
- そういうことです。私達の研究室にあるこのポリグラフはウソを見抜くことを目的としているのではなく、あくまでも医療機器として、生体信号を計測するために使用しています。生体信号を計測して、その計測結果を活用する研究をしている研究室ですからね。
- 学生
- わかりました。ありがとうございました。
