専攻紹介
生体医工学専攻とは
新薬の開発や検査法の進歩、医療材料や医療機器の開発などにより、医学は、今日まで、飛躍的な進歩を遂げてきました。この間、工学は単に医療機器の開発という技術的な面ばかりでなく、生体計測、生体情報の処理、生体メカニクスの解析や、生体制御に関する理論的体系を提供することによって、医学・医療の発展に大きく貢献してきました。また、最近の分子生物学の発展は、医学・生物学の細分化と遺伝子に関する生体情報の増加を通じて、これまでにないアプローチとして脚光を浴びています。
近年、医学・医療における工学の重要性は、日に日に増大しており、その中心に位置するのが、医学・生物学と工学の複合・融合領域ないしは学際領域をとり扱う生体医工学です。生体医工学には、生体の構造と機能をシステムとして眺め、理解する点において、分子生物学や関連する基礎研究にはない特色があります。分子、細胞、組織、器官、個体、環境にわたる各階層におけるダイナミクス(現象)と、それら階層間を結ぶダイナミクス(統合)を併せて理解しようとする立場は、来るべきライフサイエンスの時代において中核的役割を担うものです。このように、生体医工学は、人類の健康と福祉に直接的に貢献する不可欠で、重要な、しかも魅力的な学問・研究分野です。
生体医工学専攻は、工学部生体医工学科での4年間の一貫した教育を基盤として、より高度で深い医学・生物学的学識を身につけた上で、高度で創造的な工学的アプローチを用いてり、この分野のいろいろな課題についての研究を行い、医療水準を高めることができる研究者・専門技術者の養成を行います。
育成する人材
本専攻では、生体医工学が対象とする「遺伝子・生物学・人間環境工学」・「バイオメカニクス・生体材料」・「電気・電子・情報」の主要3分野について、高度な専門知識と工学的研究開発手法を習得し、関連する基礎研究や医療機器の研究開発ができる研究者および専門技術者となる人材の育成を行います。
また、臨床工学技術分野で指導的な役割を担うべく、生体医工学分野の総合的な工学的知識を有し、臨床医学の分野において診断・治療方針の策定に貢献できる臨床工学技術の研究者および専門技術者の育成も行います。
本専攻で育成された人材は、医療・福祉産業やバイオ産業、病院などの多様、多彩なバイオメディカル分野での活躍が期待されます。
設立主旨
岡山理科大学は、開学以来、学際領域に着目し、理論研究と応用技術を密接に関連させながら、創造能力の開発を目指す教育を建学の理念としています。見学から既に37年を経過しましたが、地域社会及び産業界からのその時々における高等教育機関に対する多様な要請に応え、その使命・責任を果たしてきました。
人口の老齢化、逼迫する医療経済、疾病構造の変化、医療安全性と医療倫理などが深刻な問題となる21世紀において、学術、研究、開発で最も重要なテーマの一つは人類の健康と福祉の向上です。生体医工学は、工学の医学・生物学への応用や、生体が持つ優れた機能と構造を解析し、これを工学・工業へ応用することで、“科学技術と、人間を含む生物との共生と環境の調和”を可能にする学問、技術の開発を目指しています。質の高い医療技術と革新的な工学技術の開発により、人類の健康と福祉、生きる質(QOL、Quality of Life)の向上に貢献し、ひいては人類共通の願いである、“生命の尊厳の具体化”に資することを目標としています。
生体医工学専攻はこれを担う優秀な人材の育成のために設立されました。工学的なセンスとアプローチを基盤として、生物、生体が持つ巧妙かつ精緻な機能を発現する構造と機構を、分子からからだ全体、さらには人間環境にいたるさまざまなスケールで解析、理解し、得られた知見を柔軟な発想で医学、工学などへ展開して実用化をはかることができる技術者の育成を目指します。
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