生体医工学科の一品
クリーンベンチ&バイオハザード対策用キャビネット
- 学生
- この試薬ってクリーンベンチで使う方がいい?それともバイオハザード対策用キャビネットで使った方がいいかな?
- 学生
- わから~ん。ていうかバイオハザードってあの「バイオハザード」なん?(笑)
- 学生
- この前、「バイオハザード」をDVDで見たよ。
- 学生
- 映画ちゃうし。ゲームやろ。
1996年にカプコンより発売されたプレイステーション用ホラーアクション・・・。
- 先生
- はいはい!分からんからって映画やゲームに逃げないの。バイオハザードは直訳すると「生物学的危害」や「生物災害」で、有害な生物による危険性を意味するのよ。
- 学生
- おーっ。じゃあ、クリーンベンチとバイオハザード対策用キャビネットで、違いとかはあるんですか?
(写真左:バイオハザード対策用キャビネット、右:クリーンベンチ)
- 先生
- クリーンベンチとバイオハザード対策用キャビネットの違いの前に、そもそもこういった設備はなぜ私たちの研究室に必要かわかってる?
- 学生
- 特定の菌とか細胞を単離したり、培養したりするためですよね。
- 先生
- そうね。私たちの研究室で行っている研究は菌や細胞の培養を避けては通れないんだけど、実は空気中は目に見えない菌やカビの胞子がたくさん飛んでいるのよ。だから培養器の蓋を開けて作業するときにはクリーンベンチやバイオハザード対策用キャビネット(クラスIIタイプ)の庫内のようなクリーンな環境で行って、空気中の雑菌が培養器内に混入しないようにするのよね。こういう作業を無菌操作って言うのよ。
(写真左:ヒト培養細胞、右:緑色蛍光タンパク質を持つ大腸菌)
- 先生
- じゃあ、クリーンベンチとバイオハザード対策用キャビネットの違いに話を戻しましょう。この2つの違いは庫内の空気が実験室に排出されるときにフィルターを通るか通らないかってことよ。
- 学生
- ??どういうことですか?
- 先生
- バイオハザード対策用キャビネットはもし庫内に浮遊する状態で菌やウイルスが存在したとしても、庫内の空気は菌やウイルスを補足するHEPAフィルターで必ず濾過してから外に排出されるの。
- 学生
- HEPAフィルター!なんかその言葉最近電気屋さんで見かけた気がします!確か空気清浄器とか、掃除機とかに付いていて、排気から花粉を取り除いてくれるとか・・・
- 先生
- そうなんだ。家電にHEPAフィルターが使われているんだ・・・。 話を戻すけど、人間に対して病原性がある菌やウイルスなんかを含む試料や試薬を使う場合、必ずバイオハザード対策用キャビネット内で作業します 。クリーンベンチは構造上庫内の空気が直接外に出るものなので、病原性がある菌やウイルスなんかを使うと作業者が感染する危険があるのよ。
*当研究室では病原性がある菌やウイルスは使用していません。但し万が一のことを考えて、バイオハザード対策用キャビネットを設置しています。
- 学生
- そうか~。バイオハザード対策用キャビネットは実験生物の危険性を考慮した構造になっているんですね。
- 先生
- じゃあ、最初の質問に対する答えだけど、開けたい試薬が菌や細胞の培養に使う試薬であれば、空気中の菌や胞子に汚染されないようにクリーンベンチもしくはバイオハザード対策用キャビネットで開けてください。もしその試薬に人間が感染するような菌やウイルスが含まれるのであれば、無菌操作の必要性に関わらずバイオハザード対策用キャビネットをつかうこと!わかった?
- 学生
- わかりました。ありがとうございました。
